相続登記が義務化の方向へ
【相続登記が義務化の方向へ】
以前のこのブログで相続登記には法定の期限が決まっていないと記載しました。→こちら
しかし、現在任意である相続登記が義務化される方向で検討が進められるようです。
理由は所有者不明土地問題の抜本的な対策です。
この問題は東日本大震災で復興事業の障害になる事例が発生して注目されました。
現在持ち主をすぐに特定できない土地が2016年に全国で410万ヘクタールに上り、対策を講じないまま2040年になればその面積はほぼ倍増し、北海道本島の面積に迫ると推計されています。
この問題の要因のひとつに相続登記の任意性があると言われています。
以前のブログでも記載しましたが、私の母方の実家の土地登記は、昭和4年に祖父名義になってから止まったままです。
祖父母はすでに亡くなっており、その子供は私の母も含め7名おりますが、その内3名は亡くなっております。
関係者は亡くなった人を含めると数十人になると思います。音信不通の人もいます。
身内の私でさえ、その土地の真の所有者が誰かは明確には分かりません。他人であればなおさらです。
そのような事態が全国各地で起こっております。
その対策のため相続登記を義務化し、違反した場合は罰則を設ける方針のようです。
ただ、罰則(罰金)を設けたところで、土地管理の負担の方が大きければ罰金を払って終わりという事になりかねないという意見もあります。
また、もう一つの対策が土地所有権放棄の明確化です。
現在、土地所有権放棄の明確な規定はありません。
不動産の共有者の一人がその所有権(持分)を放棄した場合は、その持分は他の共有者の持分割合に従って、それぞれ他の共有者に帰属するという規定はあります(民法255条)。
動産所有権の放棄の場合を考えると、単にゴミ箱に捨てるというイメージで物自体が消滅したり、捨てられた物を拾うというイメージで拾った人の所有物になったりします。
しかし、不動産はゴミ箱に捨てることも拾うこともできません。
民法を作った人たちも、不動産所有権を放棄するという事態は想定していなかったのでしょう。
少子高齢化が進み、人口減少社会になった現在の日本において、バブルの頃のように土地所有権を持っていれば価値がある時代は終わりましたから、今後土地所有権を放棄したい人はますます増えると思います。
前述の土地について私にはまだ何らの権利もありませんが、近い将来顕在化する問題です。
これからの政府の動きを注視したいと思います。
関連ページ
- 保護対象施設の調査は骨が折れます
- 保護対象施設の調査の記録です。
- 分割(合併)は慎重に!
- パチンコホールの分割・合併についてのブログ記事
- 島に全台ベニヤで、島撤去!?
- 見通しを妨げる設備についてのブログ記事
- マル優は本当にお得なの?
- マル優取得のメリット・デメリットについてのブログ記事
- 御上(おかみ)には逆らえませんね
- 風適法運用についてのブログ記事
- 賞品は充分取り揃えて下さいね
- 賞品の取り揃えは重要事項です
- これからは人手不足が経営リスク
- 今後労働人口の減少により、人手不足が深刻になります。パチンコホールにとっても経営リスクになります。
- 今更ですがパチンコ店は4号営業です
- 平成28年に風適法が改正され、パチンコ店は7号営業から4号営業に変わりました。
- 不便なホールがあります
- 営業マン時代に気付いた不便なホールの話
- 相続登記は面倒になる前に!
- 相続登記はいつまでが期限なのかについてのブログ記事
- 相続放棄は厳密です
- 相続放棄には期間などの要件があり、家庭裁判所への申述が必要です。
- パチンコ店長が関与したとされるサクラ問題を考える
- ある関西地元パチンコ店の店長がサクラを持ち掛けたとされる問題を説明
- 相続はよく''争族''などと言われています
- 相続において親族間での争いが増えております。
- それは無承認変更です。
- 使用していない賞品(景品)カウンターを閉鎖している場合は、無承認変更にあたるかもしれません。
- 保護対象施設の調査は骨が折れますA
- 開店予定地の近隣に保護対象施設があると、風俗営業の許可は下りません。実体験を元にした解説です。
- 共有名義の不動産について
- 例えば、夫婦などで共有名義の不動産については注意が必要です。
- 研修の講師してきました(曽根崎遊技業組合様にて)
- 当事務所ではセミナーや研修の講師をお受けしておりますが、今回は曾根崎遊技業組合様にてコンプライアンス研修を実施しました。
- NPO法人と一般社団法人の比較
- 公益を目的とする場合にNPO法人と一般社団法人の設立が考えられます。両者の比較をしてみました。
- NPO法人と株式会社との比較
- NPO法人などの非営利法人と株式会社などの営利法人は何が違うのかの説明です。
- 民法大改正@ (連帯)保証
- 身近な民法が大改正されます。普段の生活に関係のありそうな部分を解説します。
- 民法大改正A 敷金について
- 民法大改正の中で、身近な敷金についての改正部分を解説します。
- 民法大改正B 約款
- 民法改正により定型約款に関する条文が新たに追加されました。
- サクラ店長のその後と危機管理
- あるチェーン店における、店長によるサクラ問題を基にして危機管理を考察します。
- 民法大改正C 時効
- 民法の改正により、時効制度は大きく変わりました。
- 民法大改正D 番外編/消費者契約法改正
- 民法改正とともに消費者契約法が一部改正されて、消費者保護が図られています。
- 『ガチャガチャ』をパチンコ店に設置しても問題ないのか?
- ガチャガチャをパチンコ店に設置することが法的に問題ないのかを検証しました。
- 保全対象施設との距離規制〜学校の目の前にパチンコ店ありましたよね〜
- 風俗営業の許可条件のひとつである、場所的条件の解説です。
- 『死後離婚』って何ですか?
- 最近世間で話題になっている『死後離婚』についての説明です。
- 親(身内)が認知症になった時の法的問題〜任意後見契約〜
- 親などの身内が認知症になった時に、法的にどのような問題が生じるのか解説します。
- 配偶者居住権創設へ
- 相続に関する民法改正案が2018年通常国会に提出される模様です。
- 中小企業の労務問題〜とあるパチンコホールにて〜
- とあるパチンコホールを実例にして中小企業の労務問題を考えます。
- 民泊の種類別比較
- 合法民泊の中心である住宅宿泊事業法による民泊、特区民泊、旅館業法による民泊を比較してみました。
- カラオケボックスに関する規制や届出について
- カラオケボックスにはどのような規制があるのかや必要な届出、風俗営業との関係を解説します。
- 大阪市において「特区民泊」認定の為の住民説明会義務化へ
- 大阪市が条例を改正して特区民泊認定要件の住民説明会の義務化を進めています。