元パチンコメーカー行政書士のブログです

共有名義の不動産について

【共有名義の不動産について】
ある物を複数の人間で所有すると様々な問題が想定されます。

 

 

例えば、何人かでお金を出し合って車を購入した場合などです。

 

 

誰の家に保管するのか、駐車場を借りるなら誰がいくら負担するのか、保険代は?修理代は?税金は?オイル交換代は?車検費用は?はたまた、貸す場合は誰の同意が必要?売る場合は?盗難された場合の返還請求は?などなど1人で所有している時には発生しない問題が発生します。

 

 

 

以前、知り合いのAさんから依頼され事業用建物の賃貸借契約書を作成しました。

 

 

Aさんは新たに飲食店を開業するために知人から建物を借りるが、その契約書を作成して欲しいとの事でした。
調べると家主の所有建物は兄弟で各2分の1の共有でした。

 

 

私は契約書を作成し、貸主については2人の記名押印が必要である旨を伝え、注意書きの付箋まで張って手渡しました。

 

 

それから数年。
先日Aさんからその賃貸借契約を解除したいので話を聞いて欲しいと連絡がありました。
一応、契約書を確認すると、

 

 

 

おおっ!!!

 

 

 

貸主の欄には1人の記名押印しかないではないか。
Aさんにはこの契約書では効力がないと伝えました。この時点で高級外車1台分くらいの金銭が動いているのに・・・。

 

 

民法には共有関連の条文があります。その中の第251条と第252条。
共有物の保存行為は、共有者の1人でできる。管理行為は共有者の持分の価格の過半数で決める。変更行為は全員の同意が必要。

 

 

先の車の例でいくと、盗難された場合の返還請求は保存行為、貸す場合は管理行為、売る場合は変更行為です。

 

 

今回の賃貸借契約で、家主が貸すには半数の同意が必要ですが、半数の同意しか表示されてません。

 

 

よって無効です。

 

 

事前にもっと詳しく説明し、できれば押印に立ち会うか若しくは押印直後に契約書を確認するべきだったと反省しております。
みなさんも特に高価な物の共有関係には注意して下さい。

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