民法大改正@ (連帯)保証
【民法大改正@】(連帯)保証
みなさんの普段の生活に深く関わっている民法の一部が、1898年(明治31年)施行以来の約120年ぶりに大改正されます。もっとも身近で関係のありそうな部分を解説したいと思います(施行は3年以内なので2020年ころ目途でしょうか)。
まず、今回改正される部分の説明です。
民法はかなり大きく分けると、「財産法」と「家族法」に分けられます。
さらに、「財産法」分野は@総則、A物権、B債権に分けられ、「家族法」分野はC親族、D相続に分けられます。
@は民法全体の共通ルールを定め、Aは物に対する権利(所有権、地上権、抵当権など10種類)、Cは家族関係のルール、Dは人が死亡した場合の相続関係のルールを定めています。
そして今回大改正されるB債権編は人(法人)に対する権利について規定しております。
例えば、メーカーさんに対して「パチンコ台を売ってくれ。」、ホールさんに対して「金払ってくれ。」、友人に「貸したお金返してくれ。」など、人(法人)に対して何かをしてくれ、という権利関係について規定された部分です。
その中から、今回は『(連帯)保証』の改正について。
まず、通常の保証と連帯保証を比べると、連帯保証の方が保証人にとっては厳しい契約です。
貸主が借主のところに取り立てに行かずに、最初に保証人のところに取り立てに行った場合は、通常の保証人は、「借金した張本人のところに先に行け!」と言えます。
そして、貸主が言うことを聞いて借主のところに取り立てに行ったが、借主が返済してくれず、また貸主が通常の保証人のところに来た時は、通常の保証人は、「借主は○○銀行に定期預金があるから、そこからまず取り立てろ!」と言えます。
この2つの反論する権利が連帯保証人にはありません。
つまり、金貸しは借主に財産があろうが、なかろうが、最初に連帯保証人に金返せと言えます。
金貸しは最初から借主がキチンと返済してくれるとは考えていません。だから信用のある人(不動産などの資産があったり、公務員・上場会社の従業員など)を連帯保証人として求めます。
また、(連帯)保証債務は不動産担保と違って無限です。
例えば、借主が1000万円を利率年10%で借りており、10年間延滞していると(連帯)保証人は2000万円の返済義務があります。
元本、利息、違約金、損害賠償等とにかく全てです。
この部分がよく世間で「(連帯)保証人には絶対なるな!」と言わている所以です。
今回の改正で、上記のような(連帯)保証債務により苦境に陥る個人を保護する規定が新設されました。
具体的には、中小零細企業への融資の際に(連帯)保証契約をする個人には、公証人(元裁判官などの法律専門家)が内容をキチンと説明し、真意かどうかを書面で確認することになりました。
これにより、保証契約による返済ができずに、自己破産、一家破滅のような悲劇が防げるのではないかと期待されます。
余談ですが、(連帯)保証債務は相続されますので、親が誰かの保証人になっている場合は注意が必要ですよ。。。
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