サクラ店長のその後と危機管理
【サクラ店長のその後と危機管理】
民法大改正シリーズは1回お休みして、Bチェーン店の店長によるサクラ問題のその後と危機管理について考察したいと思います。
(以前の記事は→こちら)
先日の報道で、Bチェーン店の元店長が背任の疑いで逮捕されていたとありました。逮捕容疑は、店長の友達3人に当たりの出やすい台(おそらく設定Eのスロットでしょう)を打たせて約30万円分換金し、その半分を見返りに受け取っていたことです。
店長は警察に「店のアルバイトにおごるため、毎月10万〜20万円が必要だった」と供述しているとのことです。
ちなみに「横領」と「背任」の違いを少しだけ。
両罪とも信頼関係に背く財産侵害という意味では同じ。「横領」は自己の占有する他人の物を不法に領得することであり、権限がないのに所有者のごとく振る舞うこと。
「背任」はそれより広い意味で、権限内の行為であっても、その任務に背くこと。
以前のブログや曽根崎遊技業組合様のコンプライアンス研修で、私はBチェーン店が告訴したなら、店長が何かしらの刑事罰に問われる可能性を指摘しましたが、正直本当に告訴するとは思いませんでした。
それは、告訴することにより事件の内容が蒸し返され、チェーン店のブランド力が落ちることを懸念してフェードアウトするのではないかと思っていたからです。
しかしBチェーン店は私の予想に反して告訴しました。今回のBチェーン店の判断は正しかったと私は考えます。
確かに、ブランド力の失墜は免れないでしょう。しかし、当店長に対して厳しい対応をすることで、不正をうやむやにせず真摯に反省した上で再出発するというメッセージは、お客さんには伝わったと思います。
得てして危機対応を間違うと取り返しのつかない事態になります。
欠陥エアバックの大規模リコール問題で、タカタは民事再生法の適用を申請するようです。負債総額は製造業の戦後最悪の1兆円を超える規模です。
東芝は海外子会社の不適切会計問題で大幅な債務超過に陥り、瀕死の状態です。東証2部降格予定です。
両社に共通する間違いは、不正や不都合な事実が判明した時に隠ぺいし続けようとした事。
これが最大の間違いで、危機管理のやり方がまずかった典型例でしょう。
翻って、パチンコ業界の危機管理はどうでしょう?
いまだに、部品を勝手に交換する無承認変更はありますし、広告宣伝規制(場合によっては構造及び設備の維持義務)違反の事例はよく見かけます。
「1」や「5」や「8」の付く日に引っ掛けた四文字熟語や単語を使って宣伝しているホールさんはまだあります。通路に玉やメダルを積上げているホールさんもあります。ドル箱を積んでいる写真をブログなどで報告しているホールさんもあります。
これらはすべて風適法第12条、第16条に違反している可能性があると私は思っています。
守るべきは風適法だけではありません。
最近は政府の働き方改革の推進によって、労働法関連の遵守にも気配りが必要です。
電通の新入社員の方が長時間労働の末自殺し、電通は起訴されました。
宅急便のヤマトは未払いの残業代で数十億円支払うようです。
パチンコ業界は昔からグレーな労働が見られました。
私が担当していたホールの店長さんは、住み込みでほとんど休みなしで働いていました。
最近はそのような事例は少ないかもしれませんが、きちんとした労務管理が必要だと思います。
もちろん、正社員だけではなくアルバイトの方に対してもです。
各法人さんにおいては、今回のBチェーン店の事件を機に、今一度危機管理を見直してみてはいかがでしょうか。
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