相続登記の期限について

相続登記は面倒になる前に!

【相続登記は面倒になる前に!】
私は40代中盤ですが、この年齢になると同世代の方の親が亡くなったという話はちょくちょく聞くようになりました。

 

相続登記は、死亡を契機とする不動産に関する権利関係の変更を公示するためのものです。

 

相続人は相続開始の時から、被相続人(亡くなった方)の財産に属した一切の権利義務を承継します(民法896条)。不動産も当然含まれます。プラス財産だけではなく借金も相続されます。

 

 

「いつまでに登記が必要か?」とたまに質問されるのですが、私は「期限は決まっていませんが、面倒になる前に。」と返答しています。

 

 

原則的に登記は早い者勝ちの世界です。イス取りゲームと同じです。

 

 

例えば、悪人のAが不動産をBさんに売りました。次にAは登記がまだ自分の名義になっている事を利用して、Cさんにも同じ不動産を騙して売り、Cさんが登記名義人になりました。Aはトンズラです。

 

結果として不動産を手に入れるのはCさんです。早くイス(登記)に座ったCさんが勝ちです。Bが先に契約していたとしてもこの不動産は取得できません。

 

 

しかし、相続登記にはこの原則は当てはまりません。被相続人が亡くなった後に、その亡くなった人が相続人以外の他人に売る(二重譲渡)という事は不可能ですし、先ほどの民法に規定にあるように、相続財産は当然に相続人に承継されると法定されています。

 

 

なので、相続人のイスは確保されているので、いつ座るかは相続人次第です。

 

 

ただし、登記をせずに放っておくと不都合があります。

 

 

ひとつは、手が付けられなくなります。
相続登記するには、実質的には相続人となる人全員の間で協議する必要があります。時間が経てば経つほど、亡くなる人が増えて関係者も増え、協議する事が非常に困難になります。

 

 

私の母方の実家の土地は、昭和4年の祖父名義が最後でほったらかしです。祖父も祖母も亡くなってます。子供は私の母も含め7人ですが3人は亡くなってます。亡くなった3人にはそれぞれ配偶者がおり、1人は亡くなってます。子供もそれぞれ1〜2人おります。その中には音信不通の人もいます。

 

その関係者全員を捜してきて、話をまとめるのは至難の業だと思います。もはや誰も手を付けません。

 

 

もうひとつの不都合は、相続人以外に不動産を売るなどする時には、必ず前提として相続登記が必要です。私の母方の実家の土地を他人に売ったり、借金するために担保に入れたりすることは、今の状態ではできません。

 

以上のように、相続登記に関しては法定の期限はありませんが、一段落付いたら早めにする方が後々の揉め事が少なくなると思います。

関連ページ

保護対象施設の調査は骨が折れます
保護対象施設の調査の記録です。
分割(合併)は慎重に!
パチンコホールの分割・合併についてのブログ記事
島に全台ベニヤで、島撤去!?
見通しを妨げる設備についてのブログ記事
マル優は本当にお得なの?
マル優取得のメリット・デメリットについてのブログ記事
御上(おかみ)には逆らえませんね
風適法運用についてのブログ記事
賞品は充分取り揃えて下さいね
賞品の取り揃えは重要事項です
これからは人手不足が経営リスク
今後労働人口の減少により、人手不足が深刻になります。パチンコホールにとっても経営リスクになります。
今更ですがパチンコ店は4号営業です
平成28年に風適法が改正され、パチンコ店は7号営業から4号営業に変わりました。
不便なホールがあります
営業マン時代に気付いた不便なホールの話
相続放棄は厳密です
相続放棄には期間などの要件があり、家庭裁判所への申述が必要です。
パチンコ店長が関与したとされるサクラ問題を考える
ある関西地元パチンコ店の店長がサクラを持ち掛けたとされる問題を説明
相続はよく''争族''などと言われています
相続において親族間での争いが増えております。
それは無承認変更です。
使用していない賞品(景品)カウンターを閉鎖している場合は、無承認変更にあたるかもしれません。
保護対象施設の調査は骨が折れますA
開店予定地の近隣に保護対象施設があると、風俗営業の許可は下りません。実体験を元にした解説です。
共有名義の不動産について
例えば、夫婦などで共有名義の不動産については注意が必要です。
研修の講師してきました(曽根崎遊技業組合様にて)
当事務所ではセミナーや研修の講師をお受けしておりますが、今回は曾根崎遊技業組合様にてコンプライアンス研修を実施しました。
NPO法人と一般社団法人の比較
公益を目的とする場合にNPO法人と一般社団法人の設立が考えられます。両者の比較をしてみました。
NPO法人と株式会社との比較
NPO法人などの非営利法人と株式会社などの営利法人は何が違うのかの説明です。
民法大改正@ (連帯)保証
身近な民法が大改正されます。普段の生活に関係のありそうな部分を解説します。
民法大改正A 敷金について
民法大改正の中で、身近な敷金についての改正部分を解説します。
民法大改正B 約款
民法改正により定型約款に関する条文が新たに追加されました。
サクラ店長のその後と危機管理
あるチェーン店における、店長によるサクラ問題を基にして危機管理を考察します。
民法大改正C 時効
民法の改正により、時効制度は大きく変わりました。
民法大改正D 番外編/消費者契約法改正
民法改正とともに消費者契約法が一部改正されて、消費者保護が図られています。
『ガチャガチャ』をパチンコ店に設置しても問題ないのか?
ガチャガチャをパチンコ店に設置することが法的に問題ないのかを検証しました。
保全対象施設との距離規制〜学校の目の前にパチンコ店ありましたよね〜
風俗営業の許可条件のひとつである、場所的条件の解説です。
『死後離婚』って何ですか?
最近世間で話題になっている『死後離婚』についての説明です。
親(身内)が認知症になった時の法的問題〜任意後見契約〜
親などの身内が認知症になった時に、法的にどのような問題が生じるのか解説します。
相続登記が義務化の方向へ
現在任意である相続登記を義務化する方向で検討が進められるようです。
配偶者居住権創設へ
相続に関する民法改正案が2018年通常国会に提出される模様です。
中小企業の労務問題〜とあるパチンコホールにて〜
とあるパチンコホールを実例にして中小企業の労務問題を考えます。
民泊の種類別比較
合法民泊の中心である住宅宿泊事業法による民泊、特区民泊、旅館業法による民泊を比較してみました。
カラオケボックスに関する規制や届出について
カラオケボックスにはどのような規制があるのかや必要な届出、風俗営業との関係を解説します。
大阪市において「特区民泊」認定の為の住民説明会義務化へ
大阪市が条例を改正して特区民泊認定要件の住民説明会の義務化を進めています。

トップ 業務内容 行政書士紹介 事務所概要 Q&A ブログ お問い合わせ