分割(合併)は慎重に!
【分割(合併)は慎重に!】
最近、会社分割関連のご相談が多いです。
そもそも会社分割とは、2001年4月に施行された商法(現在は会社法)改正によりできた制度であり、会社の組織再編手法のひとつです。
新設分割と吸収分割の2種類があります。
新設分割とは、A社の事業の一部を引きちぎって、新たに設立するB社に承継させるものです。
吸収分割とは、A社の事業の一部をひきちぎって、既存のB社に承継させるものです。
ちなみに、
新設合併とは、A社の事業の全部を、新たに設立するB社に飲み込ませるものです(一般的にはA社とB社を合併してC社を作る)。
吸収合併とは、A社の事業の全部を、既存のB社に飲み込ませるのもです。
分割と合併の違いのひとつは、分割の場合は分割後に複数の会社が存在しますが、合併の場合は合併後にはひとつの会社しか存在しません。
分割を利用する理由はいくつかあります。
@事業再生のため⇒傾いている会社が、優良事業だけを切り離して、新設会社だけで生き残りをかける。
AM&Aに利用⇒一部の事業(営業所)だけを他の会社に売る。
B事業承継⇒親子や兄弟で事業(営業所)を分ける。
今、相談が増えている理由は主にAとBです。
Aとしては、関東法人による買収など、Bとしては、兄弟で揉める場合などがあるのではないでしょうか。
分割(合併)の注意点は、『会社法上の分割(合併)の効力発生より前に、風営適正化法における公安委員会の承認が必要』という点です。
なぜ、注意が必要かと言うと、この規定を知らない司法書士の先生がおられると思われるからです。
(商業・不動産)登記は司法書士の専門ですが、ホールさんから単に「会社分割登記して!」と依頼された司法書士が、何も考えずに(規定を知らずに)分割登記してしまうと大変な事になります。
承認前に分割(合併)するとどうなるか。風営適正化法解釈運用基準に次のような記載があります。
『承認前に分割の効力が生じた場合は、従前の許可はその時点で失効することになるため、承認することはできなくなる。』
つまりは、最初から許可の取り直しです。
ご存知のように、かなり煩雑です。許可が取れればいいですが、取れない場合もあります。
例えば、グランドオープン時の許可後に営業所の(原則)100m以内に保護対象施設(学校、病院など)ができてしまうと、もう許可は下りません。
私は、司法書士の勉強もしておりますが、業界に関係していない司法書士の先生は風営適正化法の規定を知らないと思います。
(ホールさんと取引がある司法書士の先生なら知っていると思いますが・・・。)
結論としては、ホールさんが初めての分割・合併を検討中なら
『分割・合併の効力発生前に、公安委員会への承認申請!』と頭の片隅に留めておいて下さい。
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