死後離婚についての説明

『死後離婚』って何ですか?

【『死後離婚』って何ですか?】
日々法律の勉強に勤しんでいる私が非常に違和感を感じる言葉があります。
それが『死後離婚』です。

 

 

なぜ違和感を感じるのかと言うと、『死後離婚』という言葉は民法のどこを探しても載っていない言葉だからです。
よく似た制度は民法811条6項にあります。『死後離縁』です。
これは、一旦成立した養親子関係を一方の死亡後に他方が裁判所の許可を得て終了させるものです。

 

 

この『死後離縁』という制度とイメージが似ている制度を、誰かがセンセーショナルに命名したのがこの『死後離婚』という言葉でしょう。
世間で『死後離婚』と言われているものの正体は、民法728条2項の『姻族関係終了の意思表示』です。

 

 

死亡した配偶者と離婚するという制度はそもそも日本にはありません。配偶者が死亡すれば当然に婚姻関係は終了しますから。

 

 

では、まず姻族関係とは何か?
婚姻を契機とした親族関係です。自分を基準に見て、自分と自分の血族の配偶者又は自分と自分の配偶者の血族との関係です。

 

 

例えば、前者は自分自分の兄弟の嫁さん(2親等姻族)、後者は自分嫁さんの両親(1親等姻族)などです。
ちなみに、自分の両親と配偶者の両親は法律上は赤の他人です。何の関係もありません。

 

 

この姻族関係は離婚によって当然に終了します。離婚した相手(とその親族)との関係を断絶しようという意思が明らかだからです。
しかし、死別ではその意思がありませんので姻族関係は当然には終了しません。

 

 

配偶者の死後にその姻族関係を終了させる生存配偶者からの意思表示が『姻族関係終了の意思表示』というものです。
最も多いのは、旦那の死後に憎き姑などと縁を切るパターンでしょうか。
ちなみに、姑の方から縁を切るパターンは法定されていません。

 

 

これはあくまで『意思表示』ですので、役所に届出を提出しておしまいです。姑など誰かの同意もいりませんし、御上の承認などもありません。
注意が必要なのは、嫁と姑などとの姻族関係は終了しますが、嫁の子供と姑などとの親族関係は終了しません。
あくまで終了するのは、生存配偶者死亡した配偶者の血族との関係です。

 

 

この制度が利用される理由は、感情的な部分が大きいと私は思います。
旦那とは上手くやっていたが、姑や小姑とは馬が合わない、いじめられていたという場合にその人達と絶縁してすっきりしたい、思い知らせたい、心の整理をつけたいといったとこではないでしょうか。

 

 

実質的に意味がある部分は、この届出により嫁が姑を扶養する義務を法律的に負わなくなるという点です。

 

 

民法877条に扶養義務に関する記載があります。
まず、第一に直系血族及び兄弟姉妹は互いに扶養する義務があると規定されています。
続いて、「家庭裁判所は、特別の事情があるときは、・・・3親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる」と規定されています。

 

 

嫁と姑は1親等姻族の関係にあります。
そして、親族とは@6親等内の血族A配偶者B3親等内の姻族を言います。

 

 

つまり、姻族関係終了の届出をしなければ、嫁と姑とは親族のままであり、「姑を扶養しなさい」と国から強制される可能性があるということです。
その可能性を無くす事がこの届出を提出する実質的意味合いでしょうか。

 

 

最近はこの制度の利用が増えているようです。
昔は一度嫁に行くと、家長を中心に一家一族の繋がりが強く、関係を断絶する事は容易ではなかったのでしょうが、近年は個人を尊重する考えが重視されている影響があるのではないかと思います。

 

 

と言うことで、憎き姑と縁切りしたい方はご相談下さい(笑)。
(もちろん、旦那が嫁さんの死亡後にこの届出をすることもできますよ。)

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