消費者契約法改正

民法大改正D 番外編/消費者契約法改正

【民法大改正D】番外編/消費者契約法
民法大改正の最終として民法本体の改正ではありませんが、民法にも関連している消費者契約法の一部改正をご説明したいと思います。

 

 

民法と消費者契約法は『一般法と特別法の関係にある』と言われたりします。

 

 

民法は広く一般的に適用される法律です。それに対して、消費者契約法はより特定、限定された状況で適用されます。

 

 

例えば、民法で規定されている売買契約においては、売主買主についての限定はありません。
消費者契約法における消費者契約(売買契約も含みます)とは、消費者と事業者との間で締結される契約と限定されています。

 

 

特別法は一般法に優先して適用され、特別法に規定がなければ一般法が適用されます。

 

 

 

 

では、なぜ消費者契約法が作られたのでしょうか?

 

 

 

 

そもそも民法が想定しているのは、対等な当事者間での契約です。

 

 

しかし、現代社会においてはグローバルな大企業と一個人では情報の質や量において圧倒的な格差があります。
大企業が製品の中身や性能を偽って販売するのは簡単な話です。

 

 

グローバルな自動車メーカーや国内大手の自動車メーカーが燃費を偽って販売していましたが、一個人が車を購入する時にそれを分かる訳がありません。

 

 

このような状況では公平な取引はできません。ですので消費者の真の自己決定権を支援するための法制度として消費者契約法が作られました。

 

 

 

その消費者契約法が一部改正され、平成29年6月3日から施行されています。

 

 

 

消費者契約法では以下のような状況での契約は取り消すことができると規定されています。

 

 

@不実告知
実際の燃費より良い燃費をカタログなどで提示して車を販売。

 

 

A断定的判断の提供
土地を「値上がり確実!」と宣伝して販売。

 

 

B不利益事実の不告知
隣接マンションの建設により眺望が遮られる事を知りながら、マンションを販売。

 

 

C過量契約
一人暮らしの高齢者に、不要と知りながら4セットの布団を販売。

 

 

D不退去
訪問販売を受け、再三断ったにもかかわらず長時間居座り続け、仕方なく購入。

 

 

E監禁
ある事務所で呉服の購入を勧められたが、購入する気がなかったので帰ろうとしたところ多くの従業員に囲まれて購入を迫られ購入。

 

 

今回の改正により、Cが新設されました。
高齢者の方々が、不必要な物を大量に購入させられる事例が相次いだためです。

 

 

そして、もうひとつの改正点が取消し期間の延長です。
従来は(例えば、騙されたなどを)気付いた時から「6ヵ月」以内だったのが、「1年」以内なら取消せると変更になりました。
これにより消費者保護が一層図られました。

 

 

 

情報が溢れて情報の取捨選択が難しい現代社会ですが、間違った選択してしまったときの対応として上記の事項を参考にして頂ければ幸いです。

関連ページ

保護対象施設の調査は骨が折れます
保護対象施設の調査の記録です。
分割(合併)は慎重に!
パチンコホールの分割・合併についてのブログ記事
島に全台ベニヤで、島撤去!?
見通しを妨げる設備についてのブログ記事
マル優は本当にお得なの?
マル優取得のメリット・デメリットについてのブログ記事
御上(おかみ)には逆らえませんね
風適法運用についてのブログ記事
賞品は充分取り揃えて下さいね
賞品の取り揃えは重要事項です
これからは人手不足が経営リスク
今後労働人口の減少により、人手不足が深刻になります。パチンコホールにとっても経営リスクになります。
今更ですがパチンコ店は4号営業です
平成28年に風適法が改正され、パチンコ店は7号営業から4号営業に変わりました。
不便なホールがあります
営業マン時代に気付いた不便なホールの話
相続登記は面倒になる前に!
相続登記はいつまでが期限なのかについてのブログ記事
相続放棄は厳密です
相続放棄には期間などの要件があり、家庭裁判所への申述が必要です。
パチンコ店長が関与したとされるサクラ問題を考える
ある関西地元パチンコ店の店長がサクラを持ち掛けたとされる問題を説明
相続はよく''争族''などと言われています
相続において親族間での争いが増えております。
それは無承認変更です。
使用していない賞品(景品)カウンターを閉鎖している場合は、無承認変更にあたるかもしれません。
保護対象施設の調査は骨が折れますA
開店予定地の近隣に保護対象施設があると、風俗営業の許可は下りません。実体験を元にした解説です。
共有名義の不動産について
例えば、夫婦などで共有名義の不動産については注意が必要です。
研修の講師してきました(曽根崎遊技業組合様にて)
当事務所ではセミナーや研修の講師をお受けしておりますが、今回は曾根崎遊技業組合様にてコンプライアンス研修を実施しました。
NPO法人と一般社団法人の比較
公益を目的とする場合にNPO法人と一般社団法人の設立が考えられます。両者の比較をしてみました。
NPO法人と株式会社との比較
NPO法人などの非営利法人と株式会社などの営利法人は何が違うのかの説明です。
民法大改正@ (連帯)保証
身近な民法が大改正されます。普段の生活に関係のありそうな部分を解説します。
民法大改正A 敷金について
民法大改正の中で、身近な敷金についての改正部分を解説します。
民法大改正B 約款
民法改正により定型約款に関する条文が新たに追加されました。
サクラ店長のその後と危機管理
あるチェーン店における、店長によるサクラ問題を基にして危機管理を考察します。
民法大改正C 時効
民法の改正により、時効制度は大きく変わりました。
『ガチャガチャ』をパチンコ店に設置しても問題ないのか?
ガチャガチャをパチンコ店に設置することが法的に問題ないのかを検証しました。
保全対象施設との距離規制〜学校の目の前にパチンコ店ありましたよね〜
風俗営業の許可条件のひとつである、場所的条件の解説です。
『死後離婚』って何ですか?
最近世間で話題になっている『死後離婚』についての説明です。
親(身内)が認知症になった時の法的問題〜任意後見契約〜
親などの身内が認知症になった時に、法的にどのような問題が生じるのか解説します。
相続登記が義務化の方向へ
現在任意である相続登記を義務化する方向で検討が進められるようです。
配偶者居住権創設へ
相続に関する民法改正案が2018年通常国会に提出される模様です。
中小企業の労務問題〜とあるパチンコホールにて〜
とあるパチンコホールを実例にして中小企業の労務問題を考えます。
民泊の種類別比較
合法民泊の中心である住宅宿泊事業法による民泊、特区民泊、旅館業法による民泊を比較してみました。
カラオケボックスに関する規制や届出について
カラオケボックスにはどのような規制があるのかや必要な届出、風俗営業との関係を解説します。
大阪市において「特区民泊」認定の為の住民説明会義務化へ
大阪市が条例を改正して特区民泊認定要件の住民説明会の義務化を進めています。

トップ 業務内容 行政書士紹介 事務所概要 Q&A ブログ お問い合わせ